苦悩しながらも、幸せな組織作りを目指した実践事例 第1回(Chatwork株式会社 創業者 山本敏行氏)
ビジネスチャットツール「Chatwork」を提供する
Chatwork株式会社 創業者 山本敏行氏の著書
「日本でいちばん
社員満足度が高い会社の非常識な働き方」
(Amazonのリンク https://amzn.to/38bZFBP )
より
社内システムは、好き嫌いで作る。
仕事の効率ではなく、モチベーションが上がることを基準にする。
好き嫌いによる、明確な基準をリストアップせよ。
ビジネスチャットのツールを提供している同社の通り、
Chatwork株式会社の社内連絡は、デジタルコミュニケーションツール(オンラインツール)を使用しています。
デジタルコミュニケーションツールの特徴は、
- 非同期
- 一斉配信
です。
まずは非同期について、
直接、人と会って話をする、電話をするなどのアナログな連絡手段ですと、
お互いの時間を合わせなければできません。
(念のため、アナログなコミュニケーションを否定するものではありません。)
ところが、
メールやチャットなどのオンラインでのやり取りは、時間を合わせる必要がありません。
メッセージを送る人、
メッセージを読む人が、
お互いに都合の良いタイミングで書いたり、読んだりすれば良いのです。
一斉配信については、
一度情報を発信するだけで、関係者全員に共有することができることです。
いちいち1人1人に会って話をするのが面倒だから、
経営者は、朝礼や会議で、一斉に人を集めて話をします。
その代わり、
聞く側が予定を合わせて集まる手間暇が掛かります。
同じ事をデジタルツールを使うと、
グループチャットに書く、
メールでもCCで複数人に送るなどして、
一度発信するだけで、聞く側も手間なく受け取ることができます。
このようにデジタルコミュニケーションツール(オンラインツール)を使うことで、場所と時間に囚われずに連絡が取れるようになって、
どこでも、
いつでも仕事ができるようになりました。
ところが、
こうした便利さの裏側で、
「いつでもどこでも仕事ができるように ”なっちゃった”(涙」
と言う人もいます。
つまり、
会社に居ようが居まいが、遊んでいようが何していようが、バンバン仕事の連絡が来るわけです。
以前なら、
オフィスから出れば仕事ができないので、仕事の量が自然と制限がされていたのですが、
オフィスや時間といった物理的な制限が外れてしまったため、際限なく仕事ができてしまいます。
こうした危機感を社員は感じて、
ITの導入を無意識に拒否する。
といったことが起きます。
これを避けるには、
会社で、仕事を受ける基準を「好き嫌い」で明確化することです。
もちろん、
いつでもどこでも仕事ができる弊害を解消するために、
”個人が”
仕事の量を制限する、という方法もあります。
しかし、
多くの場合、仕事を沢山受注して、なるべく多く働いて欲しい会社側と、
制限したい社員とでは、社員自身が間に挟まれて苦しむことになります。
だから、
”会社”単位で、受ける仕事に明確な基準を設けるのです。
営業がいる場合は、
営業の受注基準と言っても良いでしょう。
ただし、大事なのは、
”好き嫌い”
言い換えれば、
”経営理念”
です。
多くの場合、
- 受注基準というと、
- 注文数だったり、
- 値段だったり、
- 納期だったり、
こういった収益に関することだけじゃないでしょうか。
それでは社員のモチベーションは上がりません。
社員も仕事が嫌いなわけじゃありません。
好きな仕事と嫌いな仕事があります。
嫌いな仕事であれば、
社員は仕事を減らす方向で努力し、
仕事を増やしたい会社と対立します。
でも、
好きな仕事であれば、
社員もなるべくやりたい。
会社もなるべくやりたい。
で、向いている方向が一致します。
その上で、
社員は「やりたいけど、自分の能力が最大限発揮できるところを見極めて、仕事を制限します。」
だから、会社側は、
社員達は最大限仕事をこなそうとしていることを
”信頼”
できます。
なので、
仕事とコミュニケーションを、圧倒的に楽にするデジタルツール(業務改善)は、
好き嫌いで仕事ができる環境とセットで導入しなくてはいけません。
さあ、いますぐ手元にある紙とペンで、
「あなたの会社が受注する基準を、好き嫌いでリストアップしてみましょう。」